2019年 熊野寮入寮パンフレット
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大学生活を送る上でちょっと考えてほしいこと

入寮パンフにセクハラやハラスメントの話を載せたいよねということで, 座談会をすることにしました. 高校までの学校の授業では教えないし, 特にそういうこと考えずに過ごしてきた人も多いだろうから, 少し考えてほしいな, と. 会社のセクハラ対応ガイドラインみたいなのって, あれしちゃだめこれしちゃ駄目って禁止事項が羅列されています. でもそれはかえって, それさえしなければいいんでしょという思考停止を生むと思います. そうではなくて, 今後大学生活を送っていく上での問題提起として読んでください.

T :

何から始めたらいいかわからないし, とりあえず切り口としてコンパの話から始めようか.

Y :

コンパで, これよくないなっていう出来事を見聞きしたことはありますか?

T :

僕が1回生の時の新歓コンパで, 上回生が1回生の女子の髪の毛を触って, 触られた人が嫌だったっていうことがあった. その場では, 先輩で年上だし嫌だと言えず, 周りの人にも相談できなくて, 後でそれが発覚して問題になった. その後, 有志の寮生が個人的に先輩にそういうのは良くないと思いますという話をした.

H :

その時その先輩はどういう態度を取ったか知ってますか?

T :

結構開き直っていた気がする. よく酒を飲んで威張っているタイプの先輩だったし.

Y :

最悪ですね. 熊野寮としては, そういうハラスメント行為は許さないですよってことを入ってくる人には伝えたいですよね. もちろん寮外でもだけど, 寮生活送る上でそういうことはするなよ, と.

S :

でも現実問題としては, 寮でそういうことする人いるよね. 人権擁護部員としては, そういうことがあったら, 泣き寝入りせずに相談してくださいというのは言いたい.

Y :

そういう時って周りの人とかどういう対応するのがいいんですかね.

T :

大事になったらコンパ全体の雰囲気も悪くなって, 被害を受けた人が目立ってしまって, 被害者として他の寮生に見られて, よりしんどくなるんじゃないか, そういうこと思うので, 難しいよね. かといってその場でどうしたらいいかというのは分からない.

K :

どうしたらいいのかね. 難問の一つだとは思ってるよ.

J :

直接の被害者が限定される場合にはその人のしたいようにするしかないと思いますよ. でもコンパの場ででかい声で下ネタを言っている奴がいる時とか, 直接の被害者がいない, あるいは限定されない場合には, 怒れる人が激怒したらいいとは思う.

S :

感情的に怒られることへの反発ってすごくある. 注意した時に, お前がそんな風にキレたら, こっちも分からないからちゃんと説明してよ, みたいに言われることはよくある. あとは, 注意した相手が, みんなの前で怒られてプライド傷つけられたって思って, 過剰にこっちを攻撃してくることってあるじゃん. そうなったら場の雰囲気としてはもっと最悪になるから, どうしたらいいかわからないよね.

K :

その場で, めっちゃ怒ってかつ論理立てて説明するって両方できたらいいよね. そういうパワーさえあればいいなとは思うけど笑

J :

基本無理だよねそういうことは. 役割分担なのかなって思うこともあるけどね. その場に他に説明してくれそうな人がいたら, 私は空気が悪くなってもいいからとにかくブチギレてその場を去る. 後はそこにいる人に任せる, みたいな役割分担.

K :

うわあってなるけどね. こいつやりおったって思うけどね笑

J :

まあそうだね. 説明を丸投げしていきよったって思うよね笑

K :

ただその場では完全に流して, 後で怒るっていうのは, セクハラが咎められない雰囲気がむしろ強化されることになるから, それは絶対にしたくなくて, 気がついた人は雰囲気だけは上書きしてから去らないといけないと思っている.

S :

まあこれはどうしたらいいかわからないけど, こういう問題が構造的に起きるよねっていうことが共有できただけでもいいような気もする. セクハラに対するアプローチは普段から信頼できる仲間を作っておくのが大事だし, 実際, どんな対処ができるかはその現場で誰が何をしているかにもよるから. あと普段から, セクハラは止めるのが当たり前だし目の前で見たら怒って当然なんだという雰囲気を分かっている人たちの間だけでも共有しておくというのがめちゃくちゃ大事だと思っている.

J :

セクハラとか良くないよねって共有できている人になだめられちゃうと絶望する. どんなに下手でも感情的でもいいから, 怒った方がいいんだということを共有できてる人がいるだけで, 何か行動を起こせる可能性は上がりそうだよね.

T :

僕が最近反省していることがあって, 寮外の知り合いがいて, 見た目が男性で僕は普通に男性として接していて, 割と肩をポンって叩いたりとか触ったりとかしていて, ある時他の人から本人の自認は必ずしも男性ではないらしいよという話を聞いてすごい申し訳ない思った. 特にその場では相手の人は何も言わなかったから全然大丈夫だと思っていたけど, もしかしたら傷つけていたかもしれない.

S :

私はそういうの考えたときに, 相手の性別を勝手に判断することはできないし, 同性だろうと嫌な人もいるし, 性別問わず人には触れないっていうのが大事だと思った.

Y :

僕は単純に急に人に触れられたら相手がどんなに年上でもキレますよ. とりあえずは誰に対しても触らないのがいいと思います.

S :

でも高校生で, 少なくとも本人たちが自分たちは同性同士だと思っている場合には, 相手に触ることに特に問題意識がないことが多いじゃん. 何だったら友情の証ぐらいに思ってるじゃん. その辺から改めた方がいいよね.

K :

人の体って一種のタブーなんだよね. 基本的には触れてはならないもので, その上で触れることを許したり許されたりすることで安心感が生まれる. 友情の証みたいな表現はその通りで, そういう認識のされ方をしている. これはだいぶ危険だと思う. 身内ノリであったり, スキンシップであったりっていうを持ち込むことによって安心しようという作用が, 実害を生むという話で. 親密度に関するハラスメントに関してはほぼ必ずこの原理から来ている.

Y :

下ネタとか差別発言とかをして笑いをとるっていうのも同じ原理ですよね. 例えばゲイを馬鹿にした発言で笑いをとるとか. 差別発言やしやったらあかんことなのに周囲の人も笑ってたりするじゃないですか.

S :

明らかにあるよね, それは. だって不謹慎って全部楽しいもんね. やったらあかんはずなのに, みんなが笑ってくれているっていう爽快感.

J :

自分でも不謹慎ネタで笑いを取った後とか考え込んだったりするもん. 私これOKだったかなみたいな. だからセクハラ発言してる人がいたらもちろん糾弾するけど, 私は正しくて, 下ネタ言ってるやつは悪いやつみたいな風には思わない. 自分もやり得るなって.

S :

僕が最近反省した自分の不謹慎ネタで未だにモヤモヤしているのが, 立て看板にアッラーの顔を書くっていうの. 不謹慎って面白いんだよね. 僕はそれを言ってしまった事をずっと反省している. だから我々は所詮同じ穴の狢であると.

Y :

セクハラとか差別発言を擁護するするつもりはないですけど, 自分たちにも共通するものとして, 根底にあるものを考えたいですよね. だって, 下ネタを言っていい関係性とか, 肩たたいても大丈夫な関係性とかそういうことはある種の安心感も実際に生むわけじゃないですか.

K :

難しいね. だってこれ, 全部なくした方がいいのかっていう話はあるからね.

J :

安心感を生む身内ノリ全てを, ゼロにしたらいいかって言ったらそれも違うよね. 例えば寮だったら川添副学長批判がそのまま通じるっていうのがある種の連帯感を生んでいるところもあるじゃん.

S :

本当にそう.

J :

でも人間関係ってそういうもんじゃん. その親密さに力関係とかハラスメントとかパワーバランスみたいなこと極力持ち込まないみたいなことは大事だと思うけど, でもそこまで考えていちいち人間関係を作っている人はどれだけいるんだっていう.

K :

思い込みの対等とか思い込みの親密さっていうのが二つのキーワードだと思うんだけど, これがありうるよっていうこと, これは無自覚にあるもので, 潜在的には全員が持っているもので, それが実害を起こしうるから, 常に振り返るぐらいで人と接しようねっていうこと.

J :

常に頭のどっかで意識するくらいの感じ.

K :

そうそう. 人と親密な気がする対等な気がする, それが本当にそうかっていうのを常に疑い続けることが, 人間関係のこれまでなかったベースとして人間関係観として輸入されてもいいかもしれない。

J :

悪意のないタイプのハラスメントをしうる. 体触られたりした時に, それが悪意をもって触ってきているのであれば, 事後的にであれ拒否しやすいけれども, 仲いいよねっていう証として肩を触られた時に怒ることは難しいよね. それセクハラだよって指摘された時に, いや, 嫌がる事をしたかったわけではないという反発はしない方がいい. あなたに悪意があると言っているわけではなくて, 結果的にセクハラを生んでいるよ, そういう指摘だと思って受け止めてほしい.

K :

そうだね.

POINT

寮内の雰囲気を作っていくのは, 一人一人の寮生であり, あなた自身です. それはしんどいことでもあり, 楽しいことでもあります. セクハラやパワハラ, あらゆるハラスメントが存在しない寮を, みんなで目指していきませんか?